動物にサラブレットという血統があるように、

人間ならば尚さら血統があるものです。


祖先の人数は平等であり多数いるものです。

その祖先の中には〈善人〉と〈悪人〉がいます。


その祖先の中から〈悪人〉の思想を淘汰して、

善人の思想のみを受け継げばよい。

そうすれば

必ず両親より優れた子が生れてくるものです。

そのために

先ず自分自身の血を浄化することです。


  夫の心得

一、妻の長所を喜び、短所を補う夫たれ

一、妻の心中を常に思いやる夫たれ

一、妻は時により母、友人、娘と思うべし


  妻の心得

一、夫の長所を尊敬し、短所を補う妻たれ

一、夫の心中を常に理解する妻たれ

一、夫は時により父、友人、息子と思うべし


子供の配偶者として絶対に不向きな人は、

一、他人を欺くための嘘を平気で言う人。

一、酒を飲んだら性格が一変する人。

一、賭けごとを仕事より優先する人。

 以上は、家族が懸命に努力や我慢をしても

 一生直らない性質の人だからです。


妻は夫から注意されると

よく反発をします。

その同じ妻が、子供から同じ注意をされても

反発をしないのです。

それは、わが子の成長ぶりが嬉しいからです。

一、親子の間は〈煩脳〉で和が保たれています。

一、夫婦の間は〈愛情〉で和が保たれています。

一、友人の間は〈友情〉で和が保たれています。

一、労使の間は〈信頼〉で和が保たれています。

 〈煩脳、愛情、友情、信頼〉がなくなれば

 一変して宿敵となり破滅がやって来ます。


意見が合わないとき〈親子の断絶〉と思うな

それは〈断絶〉ではなく、年齢の〈断層〉であり、

時代の流れで生じた〈間層〉です。

「今の若者は駄目だ」とは大昔からの流行語です。

だから出合いは〈和〉がなければ宿敵となります。


新興宗教の布教師が、

死線をさまよう私の枕元で

「あなたの病は祖先の祟りだから、

いま入信しないと急死する」と

しきりに勧めました。

〈祖先が子孫に祟るなどあるはずがない〉、

〈死ぬべき命が祖先の余徳で生きている〉と思い、

感謝の祈りで、九死に一生をえました。


現世の親で子供や孫の不幸を望むものはいません。

だから、亡くなった祖先も

私達や子孫の不幸を願う筈がないのです。


「今の若い者はぜい沢で幸せ者だ!」と、

戦事中に衣食住が不足した苦しさを話しました。

子供達は親に言いました。

「世間様と同じような生活をしている」と、

そのとき、親は戦事中と比較することができる

自分達のほうが幸せであって、

子供のほうが不幸であることに気づきました。


親子の血は、父の血筋が五0%。

母の血筋が五〇%ですが、

兄弟は、両親がともに同じ血の一〇〇%。

だから兄弟は親子以上に仲よくしましょう。

貧困の家庭に生れきて

親に「何んで頼まんのに産んだのか?」と、

恨みごとを言う息子がいました。

その子に「何んで頼まんのに生まれたか」と

言う親がいました。

哀れな親子ここにあり。

金持ちの家庭に生まれきて

「何んで親孝行せねばならないのか?」と、

親に反抗する息子がいました。

その子に対し「お前も俺のように

親不幸の子供が生まれるぞ!」と言いました。

哀れなる親子ここにあり。


一を聞いて十を悟る人は、九の体験がある人。

一を聞いて十を知る仲は、お互いが十の体験と

知識を持っている間柄です。


五米先の話しをしました。

相手は一〇米先から聞いております。

先見性ある人と思い、続いて二〇米先を言えば、

今度は五〇米先から聞いております。

そのような間柄を「打てば響く仲」というのです。


何も聞かないのに総てがわかるような間柄は、

常々から観察眼と洞察力のある間柄です。

伜よ良きライバルをつくれ!

そして、そのライバルを必ず追い越しなさい。

追い越したら次ぎのライバルをつくりなさい。

ライバルとは勝負の相手ではないのです。

〈己より一段上の優れた友人〉のことだ!。


私の最大の喜びは、

伜がライバル相手を親の私を指しているからです。

この世で一番の大泥棒は伜であります。

私が折角苦労して得た知恵を全部盗んでいるのです。

でも

知恵はどんなに盗んでも罪にはならないのです。


死期が近まり三人の愛人を枕元に呼び寄せました。

一番目の愛人に

 「お前が一番好きで、誰にも渡さないように

 苦労してやっと手に入れたので、あの世まで

 一緒に逝ってくれ」と申しましたが、

 即座に断わられました。

二番目の愛人に

 「お前は素晴らしい奴で、今日まで共に苦労を

 した仲なので、あの世へ一緒に逝ってくれ」と

 と申しますと、

 「火葬場までは、家族と共に行きましょう」と

 悲しい顔をしました。

三番目の愛人に!

 「お前には苦しみを与えないで、いつも楽を

 させるように努力したので、あの世へ一緒に

 逝ってくれ」と申しますと

 素直に頷きました。


一番目の愛人は財物でした。

二番目の愛人は最愛の妻でした。

三番目の愛人は己の肉体でした。


「結婚前は両目を開けて、結婚後は片目を

閉じよ!」と、フランクリンが言いました。

〈片目だけではなく、両目を閉じていても

お互いの心がわかる〉夫婦に早くなろう。


動物は子供に学問より躾をしています。

〈虎はわが子を崖から突き落とし〉

躾をしているから学問の必要はないのです。

まして人間は学問より躾のほうが大事です。

子供に学問させるのは人間様だけです。

だから自分の子供に躾が出来ない親は

動物より劣っていることになるのです。


立派な講演をして、立派な本を書きながら、

自分自身の家庭は乱れがちな人がいます。

その人を偽善者呼ばわりをしてはなりません。

不幸の境遇の中から

〈自分の家庭はこうあってほしい〉、

〈このようにしている〉と、

かねてから思っていることを本にしたり、

講演したりしているのです。


だから

内容が立派な著者や講演者を

〈偽善者〉と安易に批判してはならないのです。